市指定 重要文化財(美術工芸品・彫刻)

萬歳寺の仏像(まんざいじのぶつぞう)

 鳥栖市の奥座敷、河内町の標高350mあまりの高所に位置する本城山萬歳寺(臨済宗南禅寺派)は、応永年間はじめ(1394〜1402)に、以亨得謙禅師(?〜1402)を開山に臨済宗の寺院として創建されたと伝えられます。
 萬歳寺には創建当初より伝存するものとおもわれる仏像が4体まつられています。このうち宝冠釈迦如来像、地蔵菩薩像および傳大士像は、作風や構造上の特徴から、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて臨済寺院で活躍し、足利将軍家にも重用された「院派仏師」により同時期、同仏所でつくられたものと考えられます。当代一流の仏師が起用されているところからも、この時代を代表する禅僧の1人である以亨得謙禅師の創建になる萬歳寺にふさわしく、京都五山文化との密接なつながりが想像されます。また、誕生仏は朝鮮・高麗時代にかの地で製作されたもので、当時の北部九州地域と朝鮮半島との交流の深さがしのばれます。
 萬歳寺は近世以降のある期間、無住の状態が長く続き、一時は荒廃寸前の時期もありましたが、こうした危機を乗り越えて、以亨得謙禅 師ゆかりの品々をはじめ、創建当初からの遺品が少なからず、600年あまりの時を越えて、まさに奇跡的に伝来していることが近年の調査であきらかとなりました。

宝冠釈迦如来座像 (ほうかんしゃかにょらいざぞう)

 

宝冠釈迦如来座像

【所在地】 鳥栖市河内町(萬歳寺)

【指定日】 平成15年6月9日

 檜材、寄木造り、漆箔、像高39.0cm、室町時代前期。頭上に宝冠を戴く宝冠釈迦如来像は、中世の禅宗寺院の本尊仏として信仰されたものです。本像は萬歳寺創建当初の本尊仏である可能性が考えられます。現在宝冠の部分は失われています。

地蔵菩薩像 (じぞうぼさつ)

 地蔵菩薩像

【所在地】 鳥栖市河内町(萬歳寺)

【指定日】 平成15年6月9日

 

 檜材、寄木造り、漆箔、像高13.0cm、室町時代前期。菩薩とは如来(修行を完成し、悟りをひらいた仏)になる前の、修行中の人をさします。菩薩像は出家前の釈迦の姿をもとにつくられますが、地蔵菩薩のみは例外的に僧侶の姿をしています。本像は戦後になって金泥を塗り重ねるとともに若干の補修がなされており、手にもつ錫杖(しゃくじょう)や宝珠(ほうじゅ)はその時のものです。

傳大士像 (ふたいしぞう)

 

傳大士像

【所在地】 鳥栖市河内町(萬歳寺)

【指定日】 平成15年6月9日

 

 檜材、寄木造、漆箔、像高33.8cm、室町時代前期。傳大士(497〜569)は、姓を傳、名を翁という中国・南北朝時代の人です。「大士」は有徳のすぐれた人物をさす尊称です。輪蔵(経典を収める棚が回転するようにつくられた経蔵)を創始したといわれるため、中世の禅宗寺院では傳大士の像が輪蔵内に守護神としてまつられていました。このため、本像が伝存する萬歳寺には、創建当初の伽藍(がらん)に輪蔵が存在していた可能性が十分考えられます。

誕生仏 (たんじょうぶつ)

 

誕生仏

【所在地】 鳥栖市河内町(萬歳寺)

【指定日】 平成15年6月9日

 

 銅製、鍍金、像高9.9cm、朝鮮・高麗時代。朝鮮半島で製作されて請来した仏像です。誕生仏は、釈迦の誕生を祝って4月8日におこなわれる潅仏会(花祭り)の本尊仏で、誕生した釈迦を竜王が洗い清めたという故事にならって甘茶を注ぐため、腐食しにくい銅でつくられます。この誕生仏は本体から足ほぞまで、蝋型による一鋳で鋳出したあと、細部の仕上げに魚々子鏨(ななこたがね)をもちいています。帽子のようにふくらんだ頭髪、低く盛りあがった肉髻(にくけい)、まっすぐにのびた手足、大きくつきでた腹部、高麗のものに多くみられるトランクス形の短い裳など、造形が直線的で明快で、幼児の単純な動作を思わせるとともに可憐さを醸し出しています。誕生仏の中には理想化された造形のものもありますが、本像は彫りの浅いやわらかい顔貌の表現で親しみやすく、庶民にまでひろがったこの時期の仏教の教えを反映しているようでもあります。

 

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更新日:2016/8/12