○鳥栖市障害のあるなしにかかわらず、全ての子どもが安心して共に学び、共に成長するための保育及び教育の環境整備を推進する条例

令和元年9月25日

条例第8号

全ての子どもは、障害のあるなしにかかわらず、共に学び、共に成長することができる平等の権利を有している。

障害者の権利に関する条約第24条では、「障害者が障害に基づいて一般的な教育制度から排除されないこと」、「自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること」、「個人に必要とされる合理的配慮が提供されること」等を確保することとされている。

また、厚生労働省障害児支援の在り方に関する検討会の「今後の障害児支援の在り方について(報告書) 平成26年7月16日」では、障害のある子どもの地域社会への参加、包容を推進するために、保育所や放課後児童クラブ等の一般的な子育て支援施策における障害児の受入れを進めることにあわせて、教育とも連携をさらに深めた上で、より総合的な形での支援を実践していくことが重要であると示された。

さらに、医療的ケア児等の重度障害のある者に対する社会的障壁は大きく、家族支援も含めて、その対応は全国的にも課題となっており、国も「医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について」(平成28年6月3日関係府省部局長連名通知)を地方公共団体等に通知し、医療的ケア児とその家族を地域で支えられるようにするため、連携体制の構築を推進するように助言している。

これらの課題を解決するためには、障害のある子どもの成長に応じた切れ目ない一貫した支援を確保するとともに、保健、医療、福祉、教育等の関係機関との連携を図っていくことが重要になってくる。

ここに、鳥栖市における障害のある子どもに対する合理的配慮の提供等に関する理念が市民一人ひとりに根付き、障害に対する理解促進や障害を理由とする差別解消に向けた取組が行われることで、自らの意思により自分の人生を選択し、自分らしく生きることができる共生社会が実現されることを目指して、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、保育及び教育において、差別の解消や合理的配慮を提供するための基本理念並びに市及び市民の役割を明らかにすること等により、障害のあるなしにかかわらず、全ての子どもが安心して共に学び、共に成長することができる鳥栖市の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 子ども 中学校卒業までの者をいう。

(2) 障害のある子ども 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、難病に起因する障害等の心身の機能の障害(以下、「障害」という。)があり、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある子どもをいう。

(3) 差別 障害を理由とした不利益な取扱いをいう。

(4) 合理的配慮 障害のある子どもが他の子どもと平等に全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。

(基本理念)

第3条 全ての子どもは、障害のあるなしにかかわらず、自らの意思により自分の人生を選択し、自分らしく生きる権利を有するとともに、必要な支援を受けながら、共に学び、共に成長することができる権利を有する。

(市の役割)

第4条 市は、前条の基本理念に基づき、次に掲げる取組を行うものとする。

(1) 市民の理解を深めるための障害に対する理解の促進及び差別の解消に向けた取組

(2) 障害のある子ども及び保護者の意向を尊重するための必要な支援並びに保健、医療、福祉及び教育の関係機関の連携を図る取組

(3) 保育及び教育環境における合理的配慮を提供するための基礎的環境整備の取組

(市民の役割)

第5条 全ての市民は、障害に関する理解を深めるとともに、障害がある子どもの差別の解消に向けた前条の取組に協力するよう努めるものとする。

(施策の推進等)

第6条 市は、第4条の市の役割を果たすため、次に掲げる施策を推進するものとする。

(1) 障害に関する広報、意識の啓発及び理解の促進を行うこと。

(2) 子どもの進学等に応じ継続した切れ目のない支援を行うこと。

(3) 地域自立支援協議会等の関係機関との連携を通じて、差別の解消に取り組むこと。

2 前項に掲げるもののほか、市は、次に掲げる事項の推進に努めるものとする。

(1) 福祉及び教育の連携等による相談支援体制の充実に関すること。

(2) 保健及び教育における職員の確保、適切な教材等の提供、施設の整備等に関すること。

(3) 保育及び教育に従事する職員に対する障害児保育及び特別支援教育にかかわる専門性の向上に関すること。

(4) 障害のある子どもの家族に対する生活上の過度な負担の軽減に関すること。

(5) 障害のある子どもに対する医療的ケア及び必要な人員の配置に関すること。

(配慮及び支援)

第7条 障害のある子ども、その家族、支援者等は、保健、医療、福祉及び教育における配慮及び支援が必要なことを周りの市民に遠慮なく伝えることができる。

2 前項の配慮及び支援が必要であることを伝えられた市民は、それぞれの立場でできる配慮及び支援に努めるものとする。

(財政上の措置)

第8条 市は、保育及び教育の環境整備を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(議会への報告)

第9条 市は、毎年度、保育及び教育の環境整備に関する取組状況を議会に報告するものとする。

この条例は、令和元年10月1日から施行する。

鳥栖市障害のあるなしにかかわらず、全ての子どもが安心して共に学び、共に成長するための保育…

令和元年9月25日 条例第8号

(令和元年10月1日施行)

体系情報
第7編 生/第1章 社会福祉/第4節 心身障害者福祉
沿革情報
令和元年9月25日 条例第8号