○鳥栖市手話言語条例
令和7年9月26日
条例第36号
言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。手話言語は、音声言語である日本語と異なる言語であり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。
ろう者(聞こえない者(聞こえにくい者も含む。)のうち、手話言語を第一言語に使い日常生活又は社会生活を営む者をいう。)は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として手話言語を大切に育んできた。
障害者の権利に関する条約や障害者基本法(昭和45年法律第84号)において、手話は言語として位置付けられたが、手話言語に対する理解の広がりを未だ感じる状況に至っていないことから、ろう者は必要な情報を得ることができず、コミュニケーションを取ることに多くの不便と不安を感じている。
本市では、手話が言語であるとの認識に基づき、手話言語の理解と広がりをもって地域で支え合い、手話言語を使って安心して暮らすことができる社会の実現を目指し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話言語を普及させ、地域において手話言語を使用しやすい環境を構築するために、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に市の施策を推進し、手話言語を使用する市民が自立した日常生活を営み、社会参加をし、心豊かに暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 ろう者を含む全ての市民は、手話により意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利を尊重すること及び手話が独自の言語体系と歴史的背景を有する文化的所産であることを基本として、手話言語に対する理解及びその普及を図っていかなければならない。
(市の責務)
第3条 市は、基本理念にのっとり、手話言語を普及し、手話言語を必要とする人があらゆる場面で手話言語による意思疎通を行うことができるよう、自立した日常生活及び地域における社会参加を促進するため、必要な施策を講ずるものとする。
(市民及び事業者の役割)
第4条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市の施策に協力するとともに、地域において手話言語を使用しやすい環境の構築に努めるものとする。
2 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者の働きやすい環境を整備するように努めるものとする。
(施策の推進)
第5条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 手話言語に対する理解及びその普及を図るための施策
(2) 市民の手話言語による意思疎通や情報を得る機会の拡大のための施策
(3) 市民が意思疎通の手段として容易に手話言語を選択することができ、かつ、使用しやすい環境を構築するための施策
(4) 手話言語通訳者の養成及び拡充、手話言語による意思疎通支援者のための施策
(5) 学校等(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学及び高等専門学校を除く。)、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所をいう。)における手話言語に対する理解の促進
(6) 災害及び非常事態におけるろう者への情報提供
(財政措置)
第6条 市は、手話言語に関する施策を積極的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(議会への報告)
第7条 市は、毎年度、手話言語の環境整備に関する取組状況を議会に報告するものとする。
(委任)
第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、令和7年10月1日から施行する。ただし、第7条の規定は、令和8年4月1日から施行する。