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企画展「今月、なんすると?」

記事ID:0054803 更新日:2023年3月1日更新 印刷ページ表示
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開催期間

令和5年1月21日~2月28日
(※この展示は小郡市とのコラボ企画展示として開催しました)

鳥栖市・小郡市コラボ企画展示ポスター

はじめに

一年を過ごすなかで、わたしたちは決まった日や特定の季節にいろいろな行事を行っています。
そこには、健康や豊作、豊漁など、さまざまな願いがこめられています。
ところでこれらの行事、ごく当たり前に行っているつもりでも、
実は「鳥栖だけ」「佐賀県だけ」「九州だけ」で行われているものが少なくありません。
今回の展示では、年中行事にこめられた人びとの願いと、その特色をご紹介します。

2023年 年中行事カレンダー

1月・2月

3月・4月

5月・6月

7月・8月

9月・10月

11月・12月

春の行事

一月一日;雑煮

一年のはじまりである「元旦」には、雑煮を食べます。
これには新年に新たな生命力をいただく意味があると言われています。
 この雑煮、餅が入っていることは全国共通ですが、
具材や出汁の取り方などは地域によってさまざまです。
鳥栖では、焼いた餅にすまし汁、かつお菜と昆布、かまぼこ、竹輪などを入れ、小豆を散らします。

雑煮
〈鳥栖でよく作られている雑煮〉

二月三日;節分

暦の上で季節の境目を「節分」と呼びますが、
最もよく知られているのが立春の前日である2月3日です。
この日には、鬼を追い払い、福を呼び込むため、煎った大豆を撒き、年齢の数の豆を食べます。
大豆を入れるのには、一升枡を用いました。
また玄関には、焼いた鰯の頭を柊の枝につけた「焼嗅(やいかがし)」を飾りました。
これは「柊鰯」とも呼ばれ、九州北部から福島県にかけての広い範囲で行われてきました。

やいかがしのイラスト
〈焼嗅のイメージ図〉

三月十五日;粥試し

鳥栖の神社のうち、五ヵ所で「粥試し」という神事が行われています。
1月15日に決まった量の米と水で粥を炊いて鉢に入れ、3月15日にこれを開きます。
粥に生えたカビの状態から、その年の気候や農作物の収穫量を占うのです。
ある地域には、細竹を入れて粥を炊き、そこにどのくらい米が入っているかで占う方法も
伝わっていますが、こちらは本州でよく行われている方法のようです。

永世神社の粥試し
〈永世神社で行われている粥試し〉

四月;春祭り

むかしは、春になると山から「田の神」が里へ下りてくる、と考えられていました。
これを迎え、その年の豊作を願って行われるのが春祭りです。
鳥栖では、かつてこの地域の惣社であった四阿屋(あずまや)神社で神幸祭が行われていましたが
今は途絶えてしまい、周辺の4区がになっていた社役のみが残っています。
現在は、牛原町、神辺町(三年ごと)、曽根崎町で獅子舞が、宿町で鉦浮立が奉納されています。
祭り囃子には笛と太鼓、鉦がつきものですが、鳥栖では太鼓と鉦のみが鳴らされます。

牛原の獅子舞
〈牛原の獅子舞〉

神辺の獅子舞
〈神辺の獅子舞〉

曽根崎の獅子舞
〈曾根崎の獅子舞〉

宿の鉦浮立
〈宿の鉦浮立〉

夏の行事

五月十一日;弁財天祭り

米作りには、一年を通して水が欠かせません。
特に充分な水が必要なのは、田植えの時期です。
この時期には、川の神・水の神である弁才天の祭りが行われています。
弁才天はよく「技芸の神」と言われますが、蛇を従える姿から水に関わる神ともされてきました。
鳥栖のような内陸では水利の、海辺の地域では海運の神として信仰を集めています。

弁財天祭り
〈神辺町の弁財天祭り〉

六月;作りあがり願成就(さなぼり)、草取り願成就

田植えを終えると、地域の神社では「作りあがり願成就」(さなぼり)が行われます。
これは田植えを見届けた「田の神」が、里から山へ上る前に感謝をささげる祭りです。

しかし米作りが大変なのはこれからです。
田植えのおよそ一週間後から、今度は草取りが始まります。
むかしはすべて手作業で、日光で熱くなった水の中、腰をかがめて行う大変な重労働でした。

むかしの農具であるがんづめ
〈草取りに使われていた、雁爪(がんづめ)という道具〉

七月三十一日~八月一日;夏越の祓

8月1日に行われる行事に「夏越の祓」があります。
「夏の名を越えて災厄をはらう」という意味で、
鳥栖では六カ所の神社で「茅の輪くぐり」が行われています。

永世神社には「夏越の祓」とあわせて人形(ひとがた)を用いた行事が伝わっています。
この紙を布団の下に敷いたり、身体の悪いところをなでたりして
不調を移し、はらってもらう行事です。

永世神社の茅の輪くぐり 江戸時代のひとがた
〈(左)永世神社の茅の輪くぐりと(右)江戸時代の人形(永世神社・提供)〉

八月七日;七夕

織姫と彦星の祭りである七夕。鳥栖では8月7日に行われています。
朝、里芋や稲の葉にたまった朝露を集めて短冊を書き、字の上達を願います。
条幅に「天の川」と書き、床の間に飾ることもあります。
新一年生の子どもには、七夕祝いとして西瓜や学用品を贈り、お返しに七夕饅頭が配られます。
これは鳥栖周辺や筑後地方に独特の風習です。

姫古曽神社の七夕
〈姫古曽神社の七夕まつり〉

秋の行事

九月;田褒め、風除け祈願

旧暦の8月1日を八朔と言い、農家では「田の神」に収穫をお願いする習慣がありました。
この時期に、稲の花が咲いて実を結び始めますが、同時に台風も頻繁にやってくるようになります。
そのため、稲が台風の被害を避けられるよう、地域の神社で「風除祈願」が行われてきました。
鳥栖では、これとあわせて相撲がよく奉納されていたようです。

部類別考鑑の記事
〈江戸時代の役人の記録『部類別考鑑』に残された相撲の記述〉

愛宕神社の奉納相撲
〈今も愛宕神社で行われている相撲大会〉

十月;秋祭り、くんちまいり

旧暦の9月は稲の本格的な収穫期です。
この収穫祭と9月9日の重陽の節供が結び付いて、
「おくんち」と呼ばれる秋祭りになったと言われています。
鳥栖では、地域の神社で宮座を開く秋祭りと、
親戚同士で行き来するくんちまいりの二つの行事が行われてきました。
また、村田町では行列浮立、藤木町では獅子舞が奉納されます。

村田浮立
〈村田浮立〉

藤木の獅子舞
〈藤木の獅子舞〉

蔵上の御田舞
〈蔵上の御田舞〉

冬の行事

十一月;麦蒔き、麦踏み

稲の収穫が終わったら、次は麦の栽培が始まります。
このように、一つの田畑で異なる時期に二種類の作物を作ることを「二毛作」と言います。
鳥栖の南部を含めた筑後川中・下流域は、日本最大の稲・麦の二毛作地帯と言われています。
麦は芽が出たあと、霜柱で根が浮き上がるのを防ぎ、分けつを促すため「麦踏み」を行います。
グラウンドを整備するものに似た、「麦踏みローラー」が使われることもありました。

初春の麦畑
〈冬の麦畑〉

十二月十三日;煤払い

新年を迎える準備は「煤払い」から始まります。
これは江戸幕府が12月13日を煤払いの日と定めたことから広まり、「正月事始め」とも言われます。
家や寺社を清め、餅をつき、門松や注連飾りを用意して、新しい年を迎える準備をします。
注連飾りにはさまざまな形がありますが、鳥栖では「大根注連」と呼ばれるものを飾ることが多いようです。

市役所の注連縄
〈鳥栖市役所に飾られる注連縄〉

おわりに

今回の展示では、さまざまな鳥栖の年中行事を紹介しました。
年中行事の多くは農業、特に米作りとのつながりがみられます。
農業は長い間、鳥栖の主産業で、大勢の人びとが関わってきました。
また農作物のでき具合は、人間の力の及ばない天候次第で決まってしまいます。
そこで、人智を超えた存在に願いを届けるべく、
いろいろな行事が生まれ、伝えられてきたのでしょう。
このほかにも、たくさんの行事が鳥栖の寺社や家庭で行われています。

みなさん、来月、なんかしてみらんですか?

 

 

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