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県指定重要文化財(考古資料) 内畑遺跡甕棺墓出土玉類・刀子一括 附甕棺1点を紹介します
内畑遺跡甕棺墓出土玉類・刀子一括 附 甕棺(うちはたいせきかめかんぼしゅつどたまるい・とうすいっかつ つけたり かめかん)1点
ガラス製小玉および勾玉 水晶製算盤玉
刀子(とうす) SJ07甕棺
- 【所在地】 鳥栖市宿町1118(鳥栖市教育委員会)
- 【指定日】 令和5年4月25日
内畑遺跡は、JR鳥栖駅から南西に約1km離れた鳥栖市元町に所在し、宝満川の支流である轟木川左岸の河岸段丘上に立地します。
本資料は、1950年頃に偶然発見された弥生時代後期前半と推定される甕棺とともに採集されたガラス製小玉1969点、ガラス製勾玉2点のセットと、2001年の発掘調査で出土した弥生時代後期後半の甕棺から検出されたガラス製小玉16点、水晶製算盤玉2点、鉄製刀子(てつせいとうす 全長20.3cm、刃部幅0.8cm)1点です。
多量のガラス製小玉の副葬は弥生時代後期前半には出現しますが、佐賀県内での出土例は数例しかないことから、この甕棺墓の被葬者は社会的に高い階層に属していたと考えられます。また、SJ07甕棺墓は、佐賀県内の弥生時代遺跡において、一つの副葬施設から複数の水晶製玉類が出土した唯一の例となります。この時期の北部九州は玄界灘から周防灘沿岸地域に集中する水晶玉出土遺跡の分布域から外れているので希少な事例であり、これらが集中する地域や製作地との地域間の交流の様子や社会構造を明らかにするうえで非常に重要な資料といえます。
これらの資料は、弥生時代後期後半の佐賀県域の墳墓における副葬習俗や装飾、装身具の組み合わせを具体的に示す数少ない例であるとともに、被葬者の社会的地位や玉類の生産と流通の実態を解明するうえで、大変価値の高い資料であることから、佐賀県重要文化財に指定されました。
加えて、副葬品が納められていたSJ07甕棺も、同時期の甕棺としては大きさや胎土の様相が明らかに特別なものと考えられるものであることから、本資料の関連資料として指定されました。